粉雪の舞い散るスロバキアの首都のブラティスラバに来ています。
目的はデビスカップの一回戦のスロバキア対世界王者のスペインの
一戦。今日一日目はシングルス二試合が行われました。今回は
そのレポートです。

昨年この町に来たのもテニスのためでした。その時は十万ドルの
チャレンジャー大会を見に来たのですが、その時にこの国のもの
すごい愛国心を感じました。今回も金曜日の予定は昼の二時から
のスタートで土曜や日曜の昼間だったらともかく金曜日のそれも
昼の二時からなのに何とチケットはソールドアウト。金曜の昼
から自国のテニスプレイヤーを応援することがいいことなのか
悪いことなのか判断に迷うところですが、応援される側やテニス
業界に関わっている人にとってはありがたい話しであるのは事実。
そんな熱い空間にネット予約のキャンセル分のチケットが手に
入り現場で見ることができました。

第一試合はスロバキアがカロル・べック、スペインがフェリシアーノ
・ロペス。最新ランクでは43位と21位の対決です。

べックのサービスで始まったこの試合。驚いたのが、ロペスが
全くもって、バックハンドのトップスピンを打たないことでした。

これが彼のスタイルなのか、それともこの速いインドアハード
コートというサーフェースを考えてのことなのか、あるいは
対戦相手に対する有効な戦術であるということなのかは私には
わかりませんでしたが、私が知る限り第9ゲームのべックの
サービスゲームでようやくリターンをトップスピンで返したのですが
この試合を通じて彼がバックハンドをトップスピンで打ったのは
両手で数えるほどでした。

この戦法ですが、べックがフォアのひざから下を打たなければ
いけない時にミスが結構あったところからすると効果はあった
と思いますが、果たして相手に嫌な気持ちをずっと抱かせたのか
あるいはハードヒットがないぞと楽な気持ちになったのかは
わかりません。第一セットは終始べックペースとなりました。

第二セットに入ってからロペスのサービスの確率が上がり、
お互いに楽にキープしたセット前半。サービスエースやサービス
で相手を崩してイージーにポイントする両者。

キープが続き4ー4からの第9ゲーム。べックのサービスゲーム
で簡単なミスを三つ続けて0ー40となり、ロペスにとって
この試合の流れを変える大きなチャンスがやって来ました。
べックはそのポイントでサービスアンドドロップボレーで1ポイント
返し、15ー40からラリーの応酬となります。そこでべックの
放ったショットがネットインで30ー40。次のポイントが
長いラリーの後、ロペスのバックハンドがオーバー。デュース
となり、サービスエース、そしていいサービスを入れてサービス
キープ。ロペスはこのゲームをものにできませんでした。

その後、サービスキープが続きましたが、12ゲームでロペスの
サービスゲームをグッドリターンで0ー15、長いラリー戦を
制し0ー30、その後15ー30になるも、グッドパスを決めて、
15ー40のブレークポイントとなり、ロペスのフォアの強打が
オーバーしてべックがブレークに成功し、このセットも制します。

同じような展開で第三セットも進みましたが、この第三セットも
ロペスはほんの僅かしかトップスピンを使わずにゲームを進めま
した。2セットダウンなので何らかの戦略の変更やギャンブルを
打ってもいいかと思いましたが、サービスが好調になったことも
あり、競り合いになり、ずっと同じ戦法で戦いました。

サービスキープが続いたのですが、第8ゲームでロペスが
アプローチショットのミスで作ったを守りきれずに落とし、
第9ゲームをラブゲームでべックがキープし、ストレートで
スロバキアが先勝ということになりました。

スロバキアのファンは大喜び。べックも気持ちを表に出すことなく
プレイしていましたが、マッチポイントを一発でサービスエース
で決めて喜びを爆発させていました。

6ー4、7ー5、6ー3というスコアでべックが勝ちましたが、
この試合を見ていて何故ロペスはバックのトップスピンを全然
使わなかったのか深い謎が残りました。確かに時折べックが
浅い位地に来たフォアで叩いたり、前に出ようとした時にミス
が出ていたので、ロペスの狙いはその部分では当たりましたが、
結果は負けました。かつての女子のグラフのような滑りまくる
スライスだったらともかく、そこまでのスライスの攻撃性は
感じなかったですからね。

スロバキアサポーターの大騒ぎを見ながら深い疑問が残りました。

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