痛ましい天災の後の報道というのは、どうも日本に本拠を置く
報道機関はそれほど残酷な動画、静止画がなく、そのことがひょっ
としたら時と共に風化させやしないか気になるのですが同時にミ
ロシェビッチ失脚の時のハンガリーのテレビ局を思い出しました。

スマトラ沖の地震、津波で大変な被害があったのですが、その
悲惨な映像を流さないことは事実を報じていないという言い方も
できますが、ひょっとしたら、報道する側、映像をチョイス立場
の人が被害を受けたエリアが観光地で観光客が来なくなると彼らは
生活の術を失ってしまうわけで、あまりにも残酷で目を覆いたくな
るような映像を日本人が見てばかりいるとビーチリゾートに行かな
くなる。それは復興や復旧を図る上でメディアによって悪影響を及ぼ
すことになるのではないか。そんなことを考えて壊滅状態になって
いるところや死体が運ばれたりする場面を避けているのではない
かという気がしますね。いいか悪いかは別にして政治的、人道的な
配慮がされているような気がします。

そんな現実の見せないという部分で思い出したのがミロシェビッチ
が失脚した時のハンガリーのテレビ局です。

当時、まさにボスニアヘルツェゴビナの国会が民主化グループによる
運動で大統領が国から逃げるという時私はハンガリーのブタペスト
にいました。

宿泊先でテレビを見ていたのですが、これが国営のマジャールTVも
民間のDUNAもドラマを放送していて隣の国の様子など大変な
ことであるにも関わらずブレーキングニュースなどなく、通常の
番組編成で、私や他の旅行者はCNNとかSKYで英語でベオグラード
の様子を目にしていました。

旧ユーゴスラビアのエリアにはハンガリー系の人間が37万人ほど
居住しているのですが(かなりチトーの時代に混血が進んだと
思いますが)ミロシェビッチ失脚というビッグニュースなのに
ハンガリーという国のテレビ局がそのまま通常の編成でドラマを
流していたのはすごい違和感を感じました。

何やら政治的な配慮というものを感じましたね。ハンガリーの
報道関係者はこれは触らない方が自分たちのためにもいいし、
隣国のためにもいいという判断が働いたのでしょう。

かくしてスマトラ沖地震の時もミロシェビッチの政治生命最後の
日も近場ではないところから報道しているニュースがリアルな
部分を深く報道している気がします。人的物的な交流が少ない
国の方がありのままの姿を報道できるのでしょうか。

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