マルティナ・ヒンギスというスイス国籍のかつてのナンバーワン
プレイヤーがテニスコートを離れて一年以上の時が流れ、再び
どういう気持ちの変化なのか、ラケットを持ちコートに戻って
きました。

復帰の舞台となったのはパタヤ。かつて、ヒンギスは東京で
東レパンパシフィックオープンでプレイしたこともありますし、
日本のラケットメーカーのヨネックスといい関係を有しているので
すが、大物プレイヤーがずらりと揃った東京を選ばずパタヤの
方を選びました。

結果の方はテニスファンはすでにご承知のようにドイツのワイン
ガルトナーに破れて復帰初戦を勝利で飾ることは出来ませんでした。
しかし、このオーストラリアでかつてSFというキャリアも持って
いるドイツ人相手にファーストセットを奪ったところに彼女の非凡
さを感じましたね。

今のテニスの世界の流れというのは本当に早いもので、一年以上の
ブランク。それも足の具合を悪くして手術して戻ってくるという
ことは本当に大変なことだと思いますが、トップ100のプレイヤー
とすぐにそこそこの戦いをしてしまうというのはやはり元はついても
世界一のプレイヤーだっただけのことはありますね。

プレイヤーとして若い時から世界を周っていたのですが、まだ
彼女は実は24歳。本気で戦う気持ちや体力を身につけるのに
時間はあると思います。

この人は名前からはわかりにくいのですが、実はダニエラ・ハントゥ
コーバとはスロバキア語で話している民族です。名字の語尾に
-ovaとつかないし、パスポートがスイスなので私もその事実を
知ったのは、昨年なのですが、ある意味ハングリーさを持つことに
なる可能性を有しているのかもしれません。民族や国籍で人を判断
することはどうかと思う人もいるかもしれませんが、生まれた国で
スポンサーを探すのも大変で、ラケット一つで生活するんだという
気持ちを持ちやすい環境にあると精神的な強さを持つことはあると
思います。

世界で一番にもなった。お金も稼いだ。欲しいものも簡単に手に
入るというポジションになると闘争心を失ってしまうと思いますが、
彼女の周りの状況はどうなのでしょうか。昨年、私はスロバキアに
行ったのですが、物凄いナショナリズムとチェコとの経済的格差を
感じました。(まぁ、マーケットの違いもありますし、チェコが
工業国であることもありますが)

スロバキアの国民の期待を一身に背負うことや彼女や彼女の
ファミリーのまわりがいい生活ができていないとなるとものすごい
モチベーションで世界の頂上に再び登ろうという気になると
思うのですが、休んでいた時のヒンギスは割にのんびりしていたし、
また、スロバキアの愛国心とか貧乏ということとは離れた位置に
いたような気がします。彼女の復帰はうれしいのですが、復活と
なるには才能だけで戦うのではなく、色々などろどろしたものを
有してラケットを握る必要があるように思います。

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