ウィンタースポーツは苦手な私が唯一楽しんで見るスポーツが
アイスホッケーです。そして、長野オリンピックでのチェコチーム
のことを思い出します。

チェコ人のライダーやテニスプレイヤーと話していて、自分の
やっているスポーツ以外で好きなスポーツというと、決まって
アイスホッケーとサッカーと言われます。実際、私もプラハで
スパルタプラハ、スラヴィアプラハのゲームを何度も見て、この
国の人は本当にアイスホッケーが好きだなと思いましたし、
小さな町でもアイスアリーナはあって、二部リーグや少年のチーム
があって、プレイしています。やる人口も多く、見る人もたくさん
いるのが、チェコという国でのアイスホッケーの姿です。

そんな国技のアイスホッケーのチェコ代表が長野に乗りこんで、
予選をクリアして、決勝リーグに突入。準々決勝をアメリカと
戦い、ミリオンダラープレイヤー達のチームを相手に3−1で
勝ちあがり、準決勝は優勝候補のカナダ。ファイナルピリオド
残り一分ほどまで2−1でリードしてこのまま行くかに思いきや
ゴールを許し、2−2になり、延長に入り、カナダ有利の
試合展開ながらも良く守り切り、ペナルティショット戦へ。
このスリリングなPS戦を制して、大本命のカナダを破り決勝へ。

そして、決勝はロシア。チェコ人というのは歴史的な経緯から
ドイツ人とロシア人が大嫌いなのですが、そのロシアを相手に
ゴールドメダルを争うことになり、一月のプラハの広場に大型
スクリーンが設置され、時差の関係で朝早いパブリックビューに
なったにも関わらずチェコ人が自国の勝利と金メダル、そして
大嫌いなロシア人の敗北を願い大声援を送りました。
(日本人がアテネ五輪を見ていたときに寝不足になりましたが
チェコ人が長野五輪を見ていたときは早起きになりました。
私に友人のデヴィド・ハヴェルは朝五時起きだったそうです。)

時差八時間ある極東での試合はチェコが先制。しかし、追加点を
奪えず、逆にロシアの攻勢に守備的な展開を強いられる展開と
なりました。

プラハで、ブルノで、オストラバで、ピルゼニュで、そしてチェコ
全土の応援と長野に駆けつけたチェコ人の応援を背に懸命の戦いを
見せたチェコチーム。ロシアの大攻勢はシュート30本を超える
ものとなりましたが、体を張った守備でゴールを許さず、1−0で
チェコが勝利。

この瞬間、長野のチェコ人、そしてプラハの一月の朝というくそが
着くほど寒い中応援していたチェコ人は大爆発しました。

人口一千万ほどの小国が優勝候補のアメリカ、大本命のカナダ、
そして、高く評価されていたロシアをぶち破り世界で一番の国に
なりました。それも大嫌いなロシアを破ってです。

私は当時イタリアにいましたが、できることなら長野かプラハに
いて喜びを分かちあいたかったですね。寒いのが嫌いな私ですが
チェコビールを朝から飲みながらでかいスクリーンでチェコチーム
を応援するのはきっとイタリアでピエール・フランチェスコ・キリ
を声援するようにファンタスティックで、ゴージャスなことでしょう。

毎年一月になると長野五輪のチェコの金メダルを思い出す私です。
(彼らがプラハルズィニェ空港に戻った時に日の丸に闘魂とか
必勝と書いてある鉢巻きをしていましたが、当時のバーツラフ・
ハヴェル大統領の出迎えを受けた時の写真を見たら、その鉢巻き
は逆になっていたなぁ)

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